NO.659326 ・板前さん(男性/30歳) 2011/01/20 15:26:11
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別のところで「みりんとみりん風調味料の違い」についてのデュークさんのご説明をめぐる争いが起きていますが、そのことはさておいて、私の仕事柄から気になりましたので、本来の質問に対するご説明をいたします。
みりんとみりん風調味料では、それぞれの原材料も製造方法も全く異なります。みりんの場合は日本酒の製造方法とほぼ同じですが、みりん風調味料の場合はアルコールを利用した発酵過程がほぼないに等しいのです。そのため、みりん風調味料にはそもそもからアルコールがほぼ含まれないのです。決して、みりんとして製造したものからアルコールを飛ばすことでみりん風調味料になるのではありません。
また、みりんとみりん風調味料の他に、発酵調味料というものがあります。業者によっては、発酵調味料をみりん風調味料の一種とする場合もありますが、厳密には区別されます。というのも、発酵調味料とは、製造工程はみりんと全く同じなのですが、最後に食塩を加えることで飲料用とできないようにし、飲料用でないから酒税の課税対象外としたものだからです。逆に、みりんと正式に称されるものには、食塩は添加されていませんから、ものすごく甘いお酒という感じで飲用することが可能です。お正月のお屠蘇がみりんに屠蘇散を入れて作ることからも理解できるでしょう。
なお、みりん風調味料のことは、発酵調味料と明確に区別するために、甘味調味料と称することもあります。ただし、実際の商品の表示では、発酵調味料でも甘味調味料でも、どちらもみりん風調味料と称していることが多いです。みりん風調味料となっていても、アルコールの含有量が多くて食塩添加の場合は発酵調味料、アルコール含有量が1%未満なら甘味調味料と区別してください。一方、本当のみりんのことは、本みりんと商品表示されています。
さて、料理に使う場合、どれを使えばいいのかという話になると思いますが、煮物などで味付けもさることながら、出来映えでの照り艶をよく出したいという場合は、甘味調味料のほうが向いています。味わいを重視するのであれば、発酵調味料か本みりんがよいのですが、これらを使う場合は、味付けに入れた後、アルコールを飛ばしてあげるために煮切る時間を必要とします。また、発酵調味料には食塩が添加されているため、あとで塩気を足す場合に注意を必要とします。発酵調味料は甘みと塩気を一度に投入できるので便利なようですが、さしすせその原理が示すとおり、先に塩気を入れると甘みが具材に入りにくくなるため、甘みが先で塩気は後とするのが望ましく、その意味では面倒でも本みりんのほうが本格的な味付けを可能にします。 |